ものづくりの視点

UIA2011-未来のために我々にできること

東條隆郎

昨年11月から12月にかけて、メキシコ南東部のカンクンで「国連気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)」と「京都議定書第6回締約国会合(CMP6)」が開催された。温暖化防止のため、初めて世界的な枠組みが成立したのが、1997年に日本主導で取り決められた「京都議定書」である。先進国に対し拘束力のある「温室効果ガス排出削減」目標(2008年から5年間で1990年比、日本-6%、米国-7%、EU-8%など)を明確に規定したこの枠組みが2012年に期限を迎えるにあたり、カンクン会議は2013年以降の、国際的な枠組みを構築することを目指した会合であった。完全な合意には至らなかったが、最終合意に向け今年開催される南アフリカ・ダーバン会議に期待したい。

ほかにも全世界の先進国・途上国が抱える人類の未来にも関わる共通の課題に対し、合意形成を図る努力が続けられている。カンクン会議のひと月前には名古屋において「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」が開催された。そして、すべての締約国が合意して、3つの決議「ABS議定書(名古屋議定書)」、「新戦略計画(2020年目標)」、「(それを達成するための)資金動員計画」を採択したことは、国際社会全体が環境問題に取り組んでいくという意思表明となり、本会合の大きな成果となった。

このような社会状況の中、国内、特に我々が携わる建築に目を向けてみる。日本におけるCO2の排出量のうち、住宅・建築分野(家庭・業務部門のエネルギー消費)におけるCO2の排出量は全体の1/3を占めると言われており、建築物はその存在期間が長期にわたることから、その影響はとても大きい。今日、この運用段階だけでなく、建設資材製造段階や廃棄段階も含め、建物のLCCO2としてトータルに捉え、この分野からのCO2排出量を抑制・削減する取り組みが行われているが、特に建設時に、運用段階で使用するエネルギー量を抑制するための建築設計者の取り組みが重要で、それにより長期的な削減効果が得られることは自明である。さらに長寿命化を図るメリットは極めて大きく、建築設計者の果たす役割は非常に大きいと言える。最新の高性能の建物を例に見ると、免震構造を採用した集合住宅やオフィスビルや、更新のしやすい給排水などの設備スペースの集約化、スケルトン・インフィルの考え方を持ったフレキシビリティの高い建物といったさまざまな新しい環境デザイン・技術の提案が行われている。また、この10年ほどの間に建設された日本のオフィスビルでは、日射を遮る彫りの深いルーバーやダブルスキンカーテンウォール、高性能LOW-Eガラスの採用など、外壁における環境性能を向上させる工夫が随所に見受けられ、さらには自然換気などの自然のエネルギーを利用する工夫などにより、以前と比べ外装の表情が大きく変化してきているのがわかる。環境性能を考えることが建物の外観までも変化させているのである。今後ますますその変化のスピードは速まるであろう。このように今や建築設計者には、環境に対する取り組みや実績が必須であり、積極的な関与が求められているが、今後は、それが建築設計者の評価・選定にまで大きく影響を及ぼすことも想定される。

今年の9月にUIA2011東京大会(第24回世界建築会議)が東京で開催される。世界中の約1万人の建築家や学生、建築関係者のみならず、広く一般の人々も参加できる大会である。「DESIGN2050-地球?環境、情報?文化、生命?生活」をテーマに掲げ、2050年の未来像を見据え、今まさに世界が直面している課題を共有し、その課題への取り組みを共に考える会合である。我々建築に携わる者としての役割を再認識し、全世界に我々からのメッセージを発信するとても良い機会である。数十年後の未来のために、大きな成果を期待している。

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